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市の中心商業地区に位置する古い木造建築をテナントに貸し出す為に、建物オーナーからの依頼でファサードのデザインを担当した。昭和から街の商業のシンボルとして、ランドマーク的な存在であった大手百貨店を取り囲む様に整備されたアーケード付きの商店街にあるこの建物は、周りの建物に同調するようにアーケードに接する平家のファサード部分がアーケードまでの隙間を塞ぐように、背の高いパラペットを設けてあった。切妻屋根と、パラペットの入隅部分は、何度も補修を繰り返した板金で覆われていたが、解体をした時点で確認出来た構造と雨仕舞いの根本的な問題を解決する為に老朽化したパラペットを一度、全て取り払った。非対称の切妻屋根のフォルムが現れた姿は、周りの建物との関係性が意外にも「健康的」で「風通しの良い」印象を持ち合わせており、通りへ与える印象も新鮮に思えたので、建物そのままの姿を出来るだけシンプルに見せるデザインにした。大都会の様な見た目への傾倒で作られた昭和の地方都市商業建築は、今の時代にマッチしていないと常々考えているので、老朽化に苦しむ、我が街の商店街へ微力ながらもメッセージを発信出来たと思う。尚、テナント内装・什器デザインは、株式会社 ベリーに依る。

AREA : 鳥取県米子市
DATA : 2022年施工 木造(1Fテナントファサード部分) 延床面積 4.33㎡

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