2016年にBAO（ビーエーオー）から事務所名をOPPOSITEに名称変更し、米子市の設計・施工会社、株式会社ベリーの敷地内にオフィスを設けていたが、2020年に自宅敷地内にピアノ教室とピアニストである妻のピアノリハーサルルームを兼ねた、小さな部屋を増築したプライベートオフィスである。自宅から繋がる廊下を抜けると、裏庭に面した大きな木製ガラス入り建具で裏庭を望む事ができる5.5m四方のスタジオに至る。真東側の壁面のほとんどを占める木製引き違いガラス建具を全開すると、奥行3メートルの「縁側」に出ることが出来る。「縁側」は建築現場で使用された古い足場板を建具と直交する様に張り、室内のカバ材フローリングの張り方向と合わせる事により、庭の景色を望む時に奥行きを感じられる様にした。又「縁側」の中央には、同じ古足場板で製作した長さ4メートルのテーブルを設け、縁側では座卓として、縁側を降りたコンクリート平板を敷き詰めた庭からはテーブルとしてベンチに腰掛けられる様にして、15人程が座って利用できるスペースになっている。室内のオリジナルテーブルも高さを抑え、空間を広く感じさせると共に、古足場で素材と高さを統一した未使用時の縁側スペース、そこから庭への景色にもなる様に計画した。室内の西側面と自宅北面外壁には使用済みコンクリート型枠の桟木を張る事で、古い建物と新しい建物が無理なく調和する様に配慮した。春と秋は山陰の気候にとても良く馴染む心地の良い仕事空間になった。