ROSP

2003年に弊所の前身であるBAOでデザインを担当した、中心市街地繁華街の外れで洋酒を中心のスタイルで営んでいたバーが、オーナーのライフスタイルの変化に合わせて、中心部を少し離れた住宅密集エリアに移転する際にデザインを担当したお店である。移転と同時に、食事のメニューを大幅に刷新し、幅の広い居酒屋料理を提供する事で、周辺住宅地の利用客が気軽に来店出来るスタイルへとアップデートした。元々、軽量鉄骨造の簡易な倉庫建築だった建物の特性を利用し、鉄骨の小屋組等を現しとし、厨房・トイレなどはブースにして配置した。倉庫建築の空気感を利用する為に、ローコストにもつながる建築用下地材をそのまま使用し、ボックス席は建物天井より、木製下地材(野縁)のフレームを持つデニム生地の天蓋を吊り下げ、席ごとに仕切ることが出来る様に、同じくデニム生地の巻上げ式スクリーンを取付し、利用人数やシュチュエーションに対応
出来る様にした。正方形寄棟屋根のデニム生地で出来た、小さな屋台が4個連続している様なボックス席が並ぶ、奥への通路を兼ね厨房沿いに設けられたカウンター席エリアを、入口側からのぞむと、お祭りの参道に並ぶ屋台の中で食事やお酒を楽しんでいる様な感覚にもなる。建物奥は20名以上で利用出来る座敷になっており、地域のスポーツ少年団等の会食にも利用されている。自転車の古いパーツで製作したオリジナルのシャンデリア等を雑多に配置する事で、異なる時代と文化をミックスした不思議な空気感になり、オーナー自身が持っている空気感を表現することが出来た。知らぬ間に、近隣の風景に溶け込んだ居心地の良い店である。

AREA : 鳥取県米子市

RESTAURANT